VOL70.コメの再生2期作の報告
みどりの食料システム戦略の実践レポート vol.70
2026年2月 業務執行理事 南埜 幸信
米の再生2期作の取り組みについて、その意義と内容については、以前このコラムでお伝えしたとおり、地球温暖化と夏場の温度上昇をプラスにとらえるコメ作技術である。4月に田植えをした早生系の品種は、たいていお盆前後に収穫となるが、その際、次のコメを育てるための光合成能力を残すために稲を少し高い位置で刈り取り、2作目を作るという技術である。2作目は、田植えも除草も不要で、多くのコストをかけずに収穫が可能である。
この技術を提唱されている農研機構の中野先生の研究では、この1回目の収穫の前に2作目のための追肥をドローンなど使って行い、8月以降も水を引き込める水田で、収穫機械として背の低い稲もロスなく収穫できる汎用コンバインがあれば、1回目の収穫の約50%程度の収量が得られるという期待が持てる技術である。いわゆる一粒で2度美味しい技術である。
今年は、有機の米粉専用品種を一般社団法人日本有機加工食品コンソーシアム向けに取り組んでいただいている、千葉県匝瑳市の栄営農組合で、この再生2期作に取り組んでいただいた。約20haの規模で有機のコメづくりに取り組んでいる農業生産法人で、特に早期米の「ふさおとめ」の7haで、この再生2期作に取り組むことにした。しかしこの地域は追肥のドローンもなく、汎用コンバインもなく、8月以降水田へ水を引くこともできないという、再生2期作としては条件が整わない地域である。一方で、日本にはこの条件になってしまう水田が圧倒的に多いことから、むしろ再生2期作では最低条件でもどの程度の収穫物が期待できるかという点では、実質的な実験ができるのではないかと考え、今回取り組むことした。




カメムシの被害はほとんどなかったが、粒が少し茶色がかっていることから、今年の再生2期作はすべて、有機の日本酒の原料にするということで、販売は完了した。収量の評価としては、ほぼ何も手を加えないで10アールあたり平均1.5俵獲れたことは、昨今の米価であれば、十分にコストはペイできるレベルであり、一回目の収穫の18%という収穫を得たということになる。これは、関東以西のコメの収穫量が単純に高刈りするだけで18%増量できることを意味しており、これからの時代に備えておきたい技術であることは確認できた。
次号に続く