
全国有機米粉会議の開催について
みどりの食料システム戦略の実践レポート vol.55
2025年9月 業務執行理事 南埜 幸信
昨年から取り組んできた、米粉専用品種の有機栽培の取り組み。昨年は越のかおりという品種(アミロース含量約33%)に取り組んだが、農水省の勧めもあって、パンにも麺にも向くという品種笑みたわわ(アミロース含量約25%)に今年は切り替えて進んできている。順調に生育していて、今日か明日には稲刈りというところまで来ている。
この米粉専用品種も、今年は仕入れ価格を決められず、8月まで待っていただいて、新米の概算金が出始めたところで、やっと最近決定をした。生産者としてみれば、一般のコメと有機の米の価格がほぼ横並びになってきて、有機のほうが3割程度高いというのは過去の話になってきて、価格的には有機の優位性が無くなってきているという状況のようだ。いわゆる米の価格そのものが、そもそも上限に来てしまっているというのが正しい解釈ではないかと思っている。
この米粉専用品種は、いわゆるアミロースの含量を高める品種改良を実施し、米特有のもちもち感を失くし、パサパサの小麦粉のような性質に仕上げてきた品種である。さらには、インディカ系のDNAとの交配により、高温に強いという性格も持っているような気がする。最近の高温多湿の夏の気温上昇への対応も備えているような生育をしている。とにかく今年の夏は暑かった。さすがのコメも、高温による異常生理障害が多発するという危惧があったが、この米粉専用品種は、そもそも見た目からして一般の米とは違い、高温で腹白などは無縁の品質と思える。
来週の9月16日(火)は既にご案内の通り、昨年より米粉専用品種の製粉をお願いしているみたけ食品工業の埼玉県の本社で、全国有機米粉会議を開催することになっている。当日は農林水産省の米粉事業の担当責任者の方より、米粉の推進についての国の政策や開発支援についての現状の報告をしていただき、そのあと、生産者の千葉県匝瑳市の栄営農組合の佐藤真吾さんより栽培に取り組んだ成果と課題について報告をいただき、さらには、参加企業様からの有機米粉を活用した商品開発のプレゼンと、今後に向けての生産者・製粉メーカー、加工メーカーが一体となって意見交換という、まさしくコンソーシアムらしい会議になると期待をしているところである。
さらにはこの米粉の精米について出てくる有機の「ぬか」については、みたけ食品工業が取り組んでいらっしゃる有機のぬか床の開発も視野に入れている。そのあたりの話も、会議では盛り上がると思える。
私事で恐縮なのだが、私の末娘が、25歳を過ぎたあたりから、パンやうどんなどの小麦粉製品を食べると、アレルギー反応や体調不良という症状が出始めた。小さい頃はそんなことなかったのだが、最新の検査機関で調べてもらったところ、年齢が大きくなってからアレルギー反応がでてしまうという、遅延型アレルギーであることが判明した。大好きなパンとうどんを制限され、がっかりしているところであったので、米粉専用品種の登場としかも有機での栽培が始まったということで、感謝されたのである。
小麦粉のグルテン。北九州でクリニックを開院されている内山葉子先生によると、昔のグルテンと、現在のグルテンは、品質改良等の要因で、性質が変わってしまっていて、アレルギー反応が出やすくなっているとのこと。先生のところも、小麦粉のグルテンアレルギーの患者が日々多くなっていることにも注意しているということである。内山先生曰く、女性の倦怠感やちょっとした体調不良などは、先生の指導で、3週間程度パンと牛乳をやめれば回復するという患者さんが多いとのこと。そのあたり内山葉子先生は結構書籍も出版されているので、興味のある方はぜひ読んでみることをお勧めする。
いずれにしても、グルテンフリー+オーガニック商品は、益々需要が拡大すると予測している。地球温暖化の対応として、生産者も導入のメリットは大きい。まさしく車の両輪が動き出す感じがする。
画像引用元:農林水産省 HPより
次号に続く