土壌の断面調査の取り組み
みどりの食料システム戦略の実践レポート vol.65
2025年12月 業務執行理事 南埜 幸信
今週の前半は、私は長崎県の五島市で、有機に取り組む畑の断面調査に圃場を回ってきた。この調査は、土壌を垂直に掘り、その断面の状態、つまり、土の硬さ、水分状態、団粒構造の発達具合、作物の根の張り具合、根の色等、生きている土と、生きている根と、その相互代謝の状態を確認し、畑ごとにその有機での土づくりの企画を纏めていくという作業である。
おさらいになるが、土壌の三大要素とは、土壌の生物性、化学性、物理性の三つの観点から現状の土壌を調べ分析し、今後の土づくりの具体的な計画を策定しようとするための取り組みである。

土づくりというと、まず化学的な分析をして、窒素・リン酸・カリウムという三大化学的養分と各種ミネラルなどの微量要素等の保持状態とバランスを定量的に分析し、土壌の状態を判断しようとするものである。これこそ土壌の化学性の分析であり、土が植物に対して、どのような養分供給能力があるかを測るものである。従来の農業の取り組みは、化学肥料による施肥を中心に組まれて来た技術体系であることから、土壌養分の分析は、施肥計画を決める大事な指標となる。養分の過不足とバランスの検証から、外から持ち込む肥料の成分と内容を、自作の圃場の土壌分析からどのような成分の有機肥料をどのくらい投入するかを策定していく取り組みである。
土づくりというと、まず化学的な分析をして、窒素・リン酸・カリウムという三大化学的養分と各種ミネラルなどの微量要素等の保持状態とバランスを定量的に分析し、土壌の状態を判断しようとするものである。これこそ土壌の化学性の分析であり、土が植物に対して、どのような養分供給能力があるかを測るものである。従来の農業の取り組みは、化学肥料による施肥を中心に組まれて来た技術体系であることから、土壌養分の分析は、施肥計画を決める大事な指標となる。養分の過不足とバランスの検証から、外から持ち込む肥料の成分と内容を、自作の圃場の土壌分析からどのような成分の有機肥料をどのくらい投入するかを策定していく取り組みである。
しかし農業はこれだけではなにも始まらないのはもちろんである。有機農業では、この養分供給の柱は「堆肥」ということになるが、堆肥にも養分供給タイプのものと、植物の繊維等土壌団粒化を促進するタイプのものがあり、この両方のバランスも大切である。団粒化した土壌は、土壌微生物の絶好な住処となるからだ。
しかし、堆肥の投入できる範囲は、トラクターのロータリーで耕耘できる範囲の、地表から15cm程度の深さまでである。このいわゆる表土と言われる層は、まさしく植物の幼少期の生育を育む養分を含む繊細な地力を必要とされるところであるが、植物の根はその範囲で生きていくものではなく、最低でも地表から50~70cmの深さの範囲である。この層は、堆肥も届かない層なので、実は生きた根と共生する土壌微生物である、根圏微生物が土を育て育む層なのである。この層に根が届いているか、どの程度の量の根の生活圏を持っているか、そして健全な活動をしているか。これを調べて確認し、根の伸長を阻害しているものがあれば、その内容を確認し、改善計画を策定するための大事な調査が、この断面調査なのである。土壌表面の養分だけでは判断できない、根の主たる活動部分の生活状態を確認する、大切な調査なのである。
特に五島は狭いエリアなのに、かなりの特徴的な土壌が存在し、島全体の土づくりを一律に論じるのではだめで、まさしく、畑の断面状態を確認し、それぞれの畑に合わせた、耕耘方法と緑肥の導入計画が大切なことを確認する調査となった。
土は面白い。兄弟でもかなり違う。
次号に続く